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水源林の管理

水道局では、長い時間のかかる森林の育成を計画的に行うため、10年毎の管理計画を策定し、水道水源林の適正な管理を行っています。

【1】水源林の現況

 水道水源林は、人の手によって苗木を植えて育成する「人工林」と、それ以外の「天然林」から構成されています。

天然林

 天然林にはブナ、ミズナラ、クリ、カエデ類などの広葉樹を主体とする森林が多く広がっています。

天然林

人工林

 水道水源林は標高の高い所が多いため、人工林には寒い環境に適したカラマツと、ヒノキから成る森林が多くなっています。

人工林
面積割合のグラフ画像(人工林28% 天然林69% 除地(道路、河川敷等)3%)

【2】人工林の育成

 人工林は、「複層林更新型森林」と「天然林誘導型森林」に区分して管理しています。

植栽木の成長が良好であり、道路が近いなど伐採した木の搬出に適した人工林

複層林更新型森林

2世代の植栽木を育てる人工林として管理します。

主伐

新たに苗木を植える空間をつくるため、一部の優良木を残し、他の木を伐採します。

主伐

地ごしらえ・植栽

地ごしらえは、苗木を植える前に、森林内の枝や雑草木を片付けます。植栽は次世代の苗を植え付けます。

地ごしらえ・植栽

下刈

植栽木の成長を妨げる雑草や低木等を刈り払います。

下刈

間伐

植栽木の本数密度を調整し、残った木の成長を促すために間引きを行います。

間伐

枝打

森林内を明るくし、草木の成長を促すために、余分な枝を切り落とします。

枝打
実際の様子
実際の様子
地形や地質の条件が悪い人工林や、伐採した木の搬出が難しい人工林

天然林誘導型森林

多様な樹齢、樹高、樹種で構成される天然林に近い森林へ誘導します。

間伐

植栽木の本数密度を調整し、残った木の成長を促すために間引きを行います。

間伐

枝打

森林内を明るくし、草木の成長を促すために、余分な枝を切り落とします。

枝打

広葉樹の導入

広葉樹の導入
実際の様子
実際の様子

【3】天然林の管理

 天然林は、原則として、自然の推移に委ねることにより、安定した森林に移行させ、長期的にはその土地で最も安定した森林(極相林)を目指します。
 なお、シカによる樹木や草本類への被害により荒廃し、土砂流出などが懸念される天然林に対しては、積極的に人の手を加えることで極相林への移行を補助していきます。

移行段階にある森林→極相林 | 一部の機能低下がみられる森林→機能低下の予防処置→極相林

【4】獣害・病虫害対策

 獣害や病虫害による影響を最小限にとどめ健全な水道水源林を維持するため、被害の状況に応じて、様々な対策を行っています。

シカ被害対策

 シカに樹皮を食べられて樹木が枯れてしまったり、草が食べ尽くされてしまう被害を防ぐため、シカ侵入防止柵を設置したり、植栽木への単木ネットの巻き付けを行っています。

シカによる食害
シカによる食害
シカ侵入防止柵と単木ネット
シカ侵入防止柵と単木ネット

クマ被害対策

 クマに植栽木の樹皮を剥がされる被害を防ぐため、枝打作業で切った枝などを植栽木の根元に積み上げる枝条集積や植栽木への防護資材の巻付けなど行っています。

樹皮剥ぎ被害
樹皮剥ぎ被害
枝条集積
枝条集積

病虫害対策

 森林内に生息する昆虫が媒介する病気の発生やある特定の昆虫の大量発生を予防するため、森林内に巣箱を設置し、昆虫を食べる野鳥の繁殖を促しています。

巣箱を利用する野鳥
巣箱を利用する野鳥

【5】山地災害の予防と復旧

 水源かん養機能の向上や小河内貯水池への土砂流出防止を目的として、落石防護柵やえん堤といった構造物を整備し、自然災害の予防や崩壊地の復旧を図っています。

施工前→施工直後→施工10年後

【6】森林管理基盤の整備

 効率的な森林管理を行うための根幹となる「林道」を整備し、管理しています。また、急傾斜地の多い水道水源林の管理を効率的に行うため、「単軌道」を設置し、管理しています。

林道の整備
林道の整備
単軌道(愛称 森レール)
単軌道(愛称 森レール)

水道水源林の管理についてもっと詳しく知りたい方は、下記のボタンより各種資料をご覧ください。